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authorCliff Click <cliffc@acm.org>2026-10-24 15:31:01 -0700
committerCliff Click <cliffc@acm.org>2026-10-24 15:31:01 -0700
commitfeb98e1bb6c973428b94591ed5b0aed5e4137bd0 (patch)
treeee104333658a452590546c483fda1cae315ce134 /chapter28b/README.ja.md
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-rw-r--r--chapter28b/README.ja.md158
1 files changed, 78 insertions, 80 deletions
diff --git a/chapter28b/README.ja.md b/chapter28b/README.ja.md
index 4feaee93..d04e9ccb 100644
--- a/chapter28b/README.ja.md
+++ b/chapter28b/README.ja.md
@@ -1,110 +1,108 @@
-# 第25章: モジュール、分割コンパイル、SSA 構築
+# 第28b章: 分離コンパイル
[English](README.md) | 日本語
-この文書は [原文](README.md) の日本語訳です。
+[Previous: Chapter 28a](../chapter28a/README.ja.md)
-[前の章: 第24章](../chapter24/README.ja.md) |
-[章の一覧](../README.ja.md#各章)
+前の章では、見つかったソースを一度にコンパイルしました。この章ではライブラリと
+クライアントを別々にコンパイルします。クライアントにはライブラリのオブジェクト
+ファイルが必要ですが、そのソースは不要です。
-この章では Simple のソースファイルを再利用可能なオブジェクトファイルへコンパイルし、その型と理想 IR を後のコンパイルに読み込み、別に構築したシステムライブラリとネイティブプログラムをリンクします。また、不完全な情報を扱うため、パーサー、型、メモリ SSA を大幅に再設計します。
+## オブジェクトに理想 IR を保存する
-この番号付きスナップショットは比較用に残しています。章の分割は進行中で、型未確定時の SSA 構築、オブジェクトの構築、エスケープ解析、モジュールを名前付きの章に分けました。[分割計画](../docs/chapter-split.md) と [バックポート待ち一覧](../docs/chapter-backports.md) を参照してください。
+通常の ELF オブジェクトには機械語、データ、シンボル、再配置情報があります。
+Simple はさらに `.simple` セクションへ型と理想 IR を保存します。クライアントは
+宣言を読み込んで型を検査し、関数本体も読み込んで SCCP やインライン化に使います。
+残った呼び出しは、ネイティブリンクでライブラリの機械語につなぎます。
-第21〜24章のメモリ処理はここにも引き継ぎます。Load 検索は読み取りをループ外へ移す前にマージの全枝を証明し、Phi の因数分解はメモリ破壊を確認し、スケジューリングはメモリ集合体を通じてエイリアスをたどります。検索は `EscapeNode` から非公開または公開メモリへ進み、未解決の Store エイリアスを待ちます。配列長の読み取りには要素の境界検査がなく、配列要素の読み取りは制御を保持します。整数値の Phi は、既存の型付き変換機構で、ループの拡大を通じてもロード幅を保持します。New は引き続き非公開のコンストラクタメモリを生成し、公開は Escape が扱います。以前の章の割り当て入力設計は、これを置き換えません。
+宣言型と解析中の型は別々に保存します。ある時点でフィールドの値が 0 でも、
+その宣言を定数 0 に変えてはいけません。引数の型の上限、数値演算のモード、
+Store の幅、元のソース位置も保存します。入れ子の構造体には、関数本体だけでなく
+割り当て関数とコンストラクタの宣言も必要です。
-[直線的な履歴](https://github.com/SeaOfNodes/Simple/tree/linear) で [この章](https://github.com/SeaOfNodes/Simple/tree/linear-chapter25) を読み、[第24章と比較](https://github.com/SeaOfNodes/Simple/compare/linear-chapter24...linear-chapter25) することもできます。
+別々のコンパイルで同じ番号になったエイリアスや関数は、同じものとは限りません。
+`GlobalBits` は定義元のファイルとファイル内の番号を保存し、インポート時にその
+組み合わせを今回の番号へ写します。型とノードに同じ写像を使い、複数ファイルを
+またぐ再帰型も復元します。
-この章の[完全な言語文法](docs/25-grammar.ja.md)はこちらです。
+読み込みの単位は現在オブジェクトです。無関係なオブジェクトは読み込まずに済みますが、選ばれた
+オブジェクトの保存済み IR は全体を復元し、記録された依存先も読み込みます。`sys.io.p` だけを
+呼ぶ場合でも、`sys.o` にまとめられた十個の単位をすべて読み込み、`aryu8` と `aryi64` も含みます。
+必要なメンバーだけの読み込みは今後の目標です。IR の読み込みだけでクラスが初期化されたり、
+その本体がクライアントの出力にコピーされたりするわけではありません。元のソースの解析は省けますが、
+インポートしたグラフも新しい呼び出し元とともに最適化し、型検査します。
-## コンパイル単位と名前
+## 実行できる例
-`CompUnit` はソースまたはオブジェクトファイルを表します。`ParseAll` は依存関係を発見し、必要なソースを解析し、以前コンパイルした単位を読み込みます。ソースツリーとビルドツリーは対応する相対パスを使い、クラス名はドット区切りのパスを使います。たとえば `a/b/foo.smp` は名前空間 `a.b.foo` を供給します。
+英語版の例は次の二つのソースルートにあります。
-各単位は Start/Stop ノードを持ちます。関数がコンパイル単位に所有されることと、未知の外部呼び出し側を表す辺とは別です。出力のためにコードを保持することが、任意の呼び出し側から到達できることを意味してはいけません。
-
-ドライバは入力パスからプロジェクトルートを推定し、出力の `-o` と外部 Simple オブジェクト検索パスの `-L` を受け付けます。検索パスにはオブジェクトファイルやディレクトリを指定できます。ヘルプには `--root` もありますが、この番号付きスナップショットでは未実装です。名前付きのモジュール章では使用できます。コンパイラはネイティブリンク用の外部 C シンボルも解決します。`_` で始まる名前と外側の名前は、未知の呼び出し元に公開するインターフェースを決めます。
-
-明示的な数値型の C 宣言は、可変のネイティブ記憶領域へ直接束縛します。
-
-```java
-i32 counter = "C";
-counter += 1;
-return counter;
+```text
+src/test/smp/separate/library/Counters.smp
+src/test/smp/separate/client/Main.smp
```
-ネイティブリンカが `counter` を解決します。読み書きはその C 変数にアクセスし、宣言はコピーも初期化もしません。繰り返した宣言とモジュールインポートは同じ記憶領域エイリアスを共有します。整数と浮動小数点データの束縛をサポートし、ポインタと集合体のデータ束縛はまだサポートしません。外部フィールドは記憶領域フラグを持ち、宣言元クラス内でバイトを占めません。配置はフィールドオフセットを `ExternOffset` シンボルへ解決し、命令選択はクラス先頭+オフセットをネイティブシンボルアドレスへ置き換えます。ネイティブオブジェクト出力は既存の AMD64 ELF ライタを使い、ARM と RISC-V はメモリ内リンカを通じてこれらのアドレスをサポートします。スレッドローカル変数と C マクロにはアクセサ関数が必要です。システムライブラリは小さなネイティブランタイムアクセサを通じ、`libc.errno()` を公開します。
-
-## オブジェクトファイルは理想 IR を含む
-
-ELF ライタは、ネイティブコードと、正規化された型、理想グラフノード、依存関係を含む `.simple` セクションを保存します。リーダはそのグラフを再構築し、インポートした関数をインライン化などの最適化に参加させます。インライン化せず残った呼び出しは、ネイティブリンクで解決します。
-
-`GlobalBits` はファイルの同一性とファイルごとのインデックスを、エイリアス、関数対象、戻り位置の局所的な密なインデックスへ対応付けます。独立したコンパイルの等しい局所番号を、等しい同一性と取り違えてはいけません。読み込み後に型を閉じて更新し、単位をまたぐ循環参照も扱います。
-
-シリアライズは、宣言型を精密化されたフロー型とは別に保持します。意味を持つすべてのノード/型のフィールドには、対応する読み書きサポートが必要です。ソースにある高コストなシリアライズの全単射検査は現在無効で、より大きな増分再ビルドテスト `testModule0` は無視されています。どちらも有効な検証保証ではありません。
-
-外部フィールドのフラグと記号的オフセットは、シリアライズされた配置を変更します。マジックは `C0DE` のままで、独立した形式バージョンはまだありません。このコンパイラへインポートする前に、すべての Simple オブジェクトファイルを再ビルドしてください。
-
-## 型が完成する前の SSA 構築
+ライブラリは、ループで final フィールドを計算する `Counter` と共有カウンタを
+公開します。クライアントの `run(3)` は最初に 107 を返します。同じプロセスで
+続けて `run(5)` を呼ぶと 231 になります。インスタンスは別々ですが、クラスの
+カウンタは共有されます。`run(0)` はライブラリを使わずに戻ります。
-Simple は引き続き AST を介さず直接 SSA に解析します。前方参照により、解析時点では式の最終的な型が利用できない場合があります。そのため構文と解決済みの字句的束縛でトポロジーを選び、後から型でグラフを精密化、最適化、検証します。
+このディレクトリでライブラリをコンパイルします。
-- 算術ノードは整数モードか浮動小数点モードかの選択を延期し、SCCP 後の再帰的グラフ成分を通じた解決も扱います。
-- Call は呼び出し先の種類が決まる前に、構文上のレシーバスロットを保持します。記号的なフィールド情報は配置依存の判断を延期します。
-- Load と通常の Phi は、パーサーが供給した下限型を持たなくなります。
-- `TypeScalar` は整数、浮動小数点、メモリポインタ、関数ポインタ値を、大域的な制御/メモリのボトムと区別して表します。
-- `TypeStruct._open` は不完全なフィールド集合を記述し、`_fref` は権威ある定義の欠如を記録します。フィールドを発見したことは、型を定義したことではありません。
-- ガードは入力の種類がわかる前に、分岐が証明したゼロ/非ゼロの事実を運びます。`FunPtrNode` は関数の戻りグラフへの明示的な辺を保持します。
-
-ドライバはシリアライズとマシン選択の前に、解析、悲観的反復、SCCP、最終型検査を行います。単純でないインライン化は、常に即時のピープホール最適化として行うのではなく、反復と調整します。
-
-## メモリと構築
-
-パーサーは通常のバルクメモリを保持します。最適化器は `MemMerge`、`MemPhi`、`BulkMemPhi` で正確なエイリアスを復元します。バルク Phi は、並列の正確な Phi で表す除外分以外のすべてのエイリアスを覆います。各スライスはちょうど1回だけ覆われなければなりません。
-
-ユーザーコンストラクタは次のように宣言し、呼び出します。
-
-```java
-struct Box {
- i64[] values;
- new Box = { i64[] initial -> values = initial; };
-};
-return new Box(new i64[1]);
+```sh
+make lib
+make build/classes/test/.ttag
+java -ea -cp "build/classes/main:build/classes/test:lib/*" \
+ com.seaofnodes.simple.Simple --norun -o build/separate-example/lib/ \
+ src/test/smp/separate/library/Counters.smp
```
-宣言で割り当て補助関数を生成します。これは割り当てを行い、隠れた `<init>` とユーザーコンストラクタを順に呼び、`EscapeNode` を通じて初期化済みの非公開メモリを公開します。パーサーの `Var` メタデータは、早すぎるフィールド読み取りやコンストラクタ出口での未初期化を検出します。Store の幅は保存する値ではなく、対象の宣言から得ます。
+次にオブジェクトを使ってクライアントを評価します。
-ファイルレベルのコードは、インスタンス初期化とは異なるクラス初期化子(`<clinit>`)で表します。遅延初期化と循環検査については[英語版の説明](README.md#lazy-class-initialization)を参照してください。今後の計画は[英語版ロードマップ](ROADMAP.md#class-initialization-and-compiler-follow-ups)にあります。
-
-## システムライブラリと例
-
-以前の単一の `sys.smp` ライブラリは、libc 束縛、I/O、文字、スキャナ、配列、伸長可能なバッファ、ビット集合の単位に整理されました。ネイティブドライバは実際のプログラム引数をサポートします。`docs/examples` の例には Bubble Sort、Capitalize、Dijkstra、FileIO があります。
+```sh
+java -ea -cp "build/classes/main:build/classes/test:lib/*" \
+ com.seaofnodes.simple.Simple --eval \
+ -L build/separate-example/lib/Counters.o \
+ src/test/smp/separate/client/Main.smp 3
+```
-`Chapter25Test` は、意図的にインライン化せず残す Hello World 呼び出しを含め、ライブラリ読み込みとネイティブリンクを検証します。そのテストは `sys.o` とリンクする前に、クライアントの外部シンボルを確認します。ほかのテストは前方コンストラクタ、呼び出し経由のフィールド更新、リテラルのエスケープ、縮小したコンパイラ失敗を検証します。独立した回帰テストは以前の章へ移す候補です。
+結果は `107` です。Windows のクラスパス区切りには `;` を使います。クライアントの
+ソースルートには `Counters.smp` がありません。`SeparateCompilationTest` はさらに
+二つのオブジェクトを C ドライバとリンクし、繰り返し呼び出す動作を検査します。
-## ビルドと確認
+## 解析とコードの所有者
-このディレクトリで `make lib` は Java テスト依存関係を用意し、`make tests` は章の生のスイート、独立スイート、システムテスト、ファザー回帰テストを実行します。`make release` はコンパイラ jar とネイティブライブラリ成果物を構築し、`make tags` はエディタ用タグを構築します。ネイティブツールと選択した CPU/ABI は環境と一致する必要があります。Makefile は現在、既定で x86-64/win64 を使います。
+インポートした本体は解析に参加しても、クライアントの出力には属しません。
+`Serialize` は `Lower` がクラス初期化を展開する前に理想 IR を保存します。
+`Unlink` は機械語生成に向けてインポートした本体と解析用の呼び出し辺を切り離します。
+インライン化でクライアントへコピーされたコードは、クライアント自身の本体として
+出力されます。
-シリアライズ IR は `C0DE` ヘッダを使います。ポインタ型は独立した読み取り専用アクセスビットを含みます。形式にはまだバージョン番号がないため、形式を変更したらオブジェクトファイルを再ビルドしてください。現在、後方互換性は保証していません。
+初期化規則は前の章と同じです。型のインポートだけでは初期化しません。能動的な使用は
+`CLInit` を通して初期化を要求し、ライブラリが持つクラスオブジェクトとフラグを使います。
+依存関係の検査にはインポートした本体も含めます。ネイティブコードへ渡した関数の
+未知の呼び出し元も保持します。
-コンパイラ変更は `sys.o` のシリアライズ IR とネイティブコードの両方を無効にする場合があります。リンクしたプログラムのテスト結果を解釈する前に再ビルドしてください。ソースだけの部分集合は、この章の完全な `make tests` と同等ではありません。
+コンストラクタのフィールド更新はローカル値と Phi のままで、ヘルパーの出口に Store を
+置きます。未完成のオブジェクトでも初期化済みフィールドは読めます。
+アンダースコアは公開インターフェースの選択に使いますが、ソースのアクセス制限は
+[レビュー待ち](../docs/chapter-backports.md)です。
-## RegAlloc の改良: 生存区間の面積と分割コスト
+## 検証と今後
-第24章はループ Phi の高頻度辺を分割する前に、低頻度のコピーを試しました。この章ではさらに、スピルがスケジュール済みコードのどれだけをレジスタ圧力から解放するかを推定し、新しいコピーの推定コストで割ります。callee-save 区間は関数全体を覆います。複製可能な定数は使用の近くで再構築できます。ループ内のコピーは高コストなので、`8^loopDepth` で重み付けします。特に多数の使用を持つ値については、低コストな近似です。
+リポジトリのルートから次を実行します。
-複数の固定レジスタ使用を直接分割する規則や、一部の複数定義区間をより深く分割する規則など、第25章のほかの衝突処理はここに残します。サイズのしきい値はヒューリスティックであり、最初の割り当て器へバックポートすべき一般的不変条件ではありません。共有される合法性修正は、引き続き最も早い該当章から始めます。最終監査は第20〜25章の固定隣接ノードの色バイアス、第20〜21章の狭いストアマスク、第21〜25章の ARM レジスタバンク/浮動小数点メモリエンコーディングを修正しました。
+```sh
+make tests CHAPTERS=chapter28b
+```
-第21章の隣接コピー転送も引き継ぎます。次の命令だけで使うコピーは、オペランドがコピー元レジスタを受け入れ、命令の結果に結び付けられていなければ除去します。
+保存したコンストラクタ、インポートをまたぐ初期化循環、共有データ、ネイティブ関数の
+サンク、ライブラリとクライアントの実行を検査します。Make はテスト用の `sys` も
+オブジェクトにします。`make release` は jar と標準ライブラリを作り、`make view` は
+共通のグラフビューアーを起動します。
-現在の比較は、固定したテスト群を行、コンパイラの章を列にした
-[英語版の測定表](README.md#regalloc-improvements-live-range-area-and-split-cost) を参照してください。
-各セルは ARM/RISC-V の実行命令数、そのうち割り当て器が生成したコピーなどの命令数、
-x86 のループ重み付き移動数を示します。これらは異なる指標です。
-対象、入力、除外項目は [測定方法](../docs/regalloc-spills.md) にあります。
-古い測定群の集計値と混ぜて比較しないでください。
+保存形式は `C0DE` 以外のバージョン番号をまだ持ちません。コンパイラや形式を変えたら
+オブジェクトを再構築してください。高コストの往復一致検査は無効のままで、古い増分
+ビルドの実験 `testModule0` も実行対象外です。
-クラス初期化、インライン化、エスケープ解析、ライブラリの変更もグラフを変えます。
-章をまたぐ差を割り当て器だけの品質差と解釈せず、同じ入力とコンパイラで
-ヒューリスティックを比較してください。
+[分割計画](../docs/chapter-split.md)の主要な七つのスナップショットはこれで揃います。
+ネイティブライブラリの構築と最適化の調整は[付録](../docs/appendices/README.md)にまとめています。