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# 第28a章: モジュールと遅延クラス初期化

[次の章: 分離コンパイル](../chapter28b/README.ja.md)

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この章では複数のソースファイルを一度にコンパイルします。各ファイルは
一つのクラスと共有オブジェクトを定義し、トップレベルの文は隠れた
`<clinit>` 関数になります。最初の能動的な使用で初期化し、その後は
同じ結果を使います。クラスへの参照を保持するだけでは初期化しません。

## 必要なときだけ表を作る

実行できる例は [`src/test/smp/lazy`](../../src/test/smp/lazy) にあります。
`App.smp` は Main、Tables、Stats への参照を公開します。
`App/Stats.smp` の `builds` は初期化回数を数えます。
`App/Tables.smp` は次のように表を構築します。

```simple
Stats.builds++;
int[] _squares=new int[256];
for(int i=0; i<256; i++) _squares[i]=i*i;
val square={u8 n -> _squares[n];};
```

`App/Main.smp` が入口です。

```simple
return arg ? Tables.square(3)+Tables.square(4)+100*Stats.builds : Stats.builds;
```

引数が 0 なら結果は 0 で、Tables は初期化されません。引数が 1 なら
9 + 16 + 100 = 125 です。二度の呼び出しでも表は一度しか作りません。
`_squares` は非公開のフィールドで、公開関数を通して読み出します。
完全なファイル一覧と評価用 Java コードは [英語版](README.md) を参照してください。

## ファイルと解析の境界

`ParseAll` は未解決のクラス名や型から必要なソースを探します。
ディレクトリ階層が名前空間になり、`App/Main` から `Tables` は兄弟の
`App/Tables` を指せます。親の初期化は子より先なので、親も解析します。
相互参照する型はソースの発見後に閉じます。

`CompUnit` はソース、クラス型、関数をまとめます。各単位には
`StartCU` と `StopCU` があり、全体の Start/Stop の下で解析します。
公開関数には未知の呼び出し元が存在します。非公開の関数は引き続き
エスケープ解析によって特殊化できます。フィールド名の先頭の `_` は
非公開を表します。ただし、現実装はこれを公開インターフェースの選択に使うだけで、
兄弟クラスからの直接アクセスをまだ拒否しません。このアクセス検査は未実装です。

標準ライブラリ `sys` もソースから解析します。ローカルの `sys` が
なければ `src/main/smp` を使います。ネイティブの `"C"` 宣言は従来通り
ネイティブリンカーで解決します。

## 初期化の順序と循環

クラスのフィールドの読み書き、メソッド呼び出し、インスタンス生成は
初期化を必要とします。パーサーは `CLInit` を挿入し、最適化中は制御と
メモリ効果を持つ不透明なノードとして残します。実行後は隠れた `$init`
フラグが真なので、通常のメモリ最適化で重複した検査を除去できます。

型やクラスへの参照の循環は合法です。しかし A の初期化が B を使い、
B の初期化が A を使う場合、先に完了できるクラスがありません。
`ClassInitDependencies` は最適化後の呼び出しと `CLInit` をたどり、
複数のクラス初期化を含む循環をソース位置付きで報告します。
通常の再帰や同じ初期化関数内の再帰は許されます。

検査後、`Lower` はフラグ検査と未初期化時の呼び出しに展開します。
親を先に初期化し、フラグは初期化関数の入口で真にします。同じクラスのヘルパーから
再び使えるようにするためです。他クラスを経由して未完成のクラスへ戻る循環は拒否します。
初期化関数 A が B の初期化を完了させてから再開することは可能です。

## コード生成とビルド

この章では必要なソースをすべて同時にコンパイルします。`FinishCalls`
が解析用の呼び出し辺を切り離し、`StaticData` がクラスの共有領域と
定数フィールドを配置します。ELF は発見したソースのうち生きているコードを含みますが、
理想 IR のシリアライズ情報は含みません。

リポジトリのルートで次を実行します。

```sh
make tests CHAPTERS=chapter28a
```

このディレクトリでは初回に `make lib`、続いて `make tests` を使えます。
`make view` は共有グラフビューアーを起動します。

次の章ではライブラリのソースがなくてもコンパイルできるように、型と
理想 IR の保存、インポート時の識別子変換、インポート先を含む初期化検査
を追加します。ライブラリ構築と最適化の調整は付録として扱います。